2018年5月18日金曜日

神経伝達物質の相互作用

 相互の影響
セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンは
重要な働きをしています。
そして、相互に影響しあう関係が重要です。
セロトニン、ドーパミン、ノルアドレナリンが
バランスよく分泌されることで、
心身のバランスも保たれます。

 セロトニンとドーパミン
 セロトニンがドーパミンの働きを制御します。
物事への興味や関心を得るためのモチベーションは、
ドーパミンが放出されることで得られる
「快感」によって生み出されています。
人類が海に出て未知の大陸を目指したのも、
アポロが月へ行ったのも、
達成した時に得られる快感が
あったからこそだと考えられますし、
更なる快感を求めて
人類は進化を続けて来たと言えます。
 一方、ドーパミンによる快感だけを追い求めると、
際限なく満足できない状態になります。
そんなドーパミンの働きにブレーキをかけて、
正常な精神状態を
保つ役割をするのがセロトニンです。
ドーパミンが人類を進化させてきた
未知への飽くなき探究心の源だとすれば、
セロトニンはそれを制御する安全弁で、
モラルを守るための自制心として働いています。
 セロトニンとドーパミンの分泌バランスが崩れると、
心身に様々な影響が生じます。
ドーパミンの分泌が過剰なことで起こると考えられている
疾病の一つが統合失調症です。
統合失調症の治療には、
セロトニンやドーパミンの働きに作用のある薬剤が
広く用いられています。
また、セロトニンが弱まりドーパミンが暴走すると、
アルコールやパチンコなどの依存症に
陥りやすくなると考えられています。

 セロトニンとノルアドレナリン
 ノルアドレナリンによる身体の興奮を
セロトニンが鎮静しています。
ノルアドレナリンは、
主にストレスに反応して分泌される物質で、
ストレスに対して怒りや恐怖、不安などの
感情の反応を示します。
例えば人が獣に襲われたときに、
怒りで身体を奮い起こして反撃するのか、
恐怖によって逃げるのかと言った、
生存のための適切な行動の選択、
またはそうした状況に陥らないために、
常に不安を抱くことで、
注意力や集中力を高めることを促す
原始的な本能によるものです。
ノルアドレナリンは脳を覚醒させ、
集中力や判断力を高めますが、
一方で興奮作用があるため、
分泌されると怒りっぽく、イライラしやすくなったり、
躁状態になりやすくなります。
ノルアドレナリンが過剰に働こうとするとき、
その働きを抑えて精神を鎮静させるのが
セロトニンです。
セロトニンは抗ストレス作用を持ち、
怒りや恐怖と言った不安を
鎮めて、感情を安定させています。

 ドーパミンとノルアドレナリン
「快楽を司るドーパミン」と
「怒りのホルモン・ノルアドレナリン」には、
非常に密接な関係があります。
ドーパミンとノルアドレナリンはチロシンと言う
同じアミノ酸から作られる物質で、
カテコールアミンという神経伝達物質に分類されます。
また、ドーパミンはノルアドレナリンを
合成する前駆体でもあり、
ノルアドレナリンの合成にはドーパミンが必要になります。
そのため、これらの物質のトランスポーターや
代謝・分解に関わっている酵素などの多くが共通しています。
ドーパミンとノルアドレナリンは
ストレスに強い関わりがあります。
ストレスを受けると、ストレスに抗うために
ノルアドレナリンが分泌されますが、
同時にドーパミンも分泌されやすくなります。
ストレスを解消する手っ取り早い手段が、
ドーパミンを分泌させて快感を得ることだからです。
ストレスは食事をしたり、運動をしたり、
たばこを吸ったりアルコールを飲んだりすることで、
ドーパミンを分泌させて解消(麻痺)させることが出来ます。
そのため強いストレスを受け続けると、
その解消手段として快感を得られる何か
を体が欲しやすくなります。
ドーパミンが暴走すると、
アルコール依存症やギャンブル依存症へと繋がります。
また、ノルアドレナリンが分泌されるストレスと、
ドーパミンが分泌されるストレスには、違いがあります。
ノルアドレナリンが反応するのは、
暑い・寒い・痒い・痛い・苦しい・つらい・悲しいなど、
〈不快な刺激〉に対してです。
ドーパミンは〈欲望や渇望〉という形でストレス生み出します。
何かをしたい、何かが欲しいといった欲望は、
達成されないうちはストレスでもあります。
物事への意欲やモチベーションへとつながっているのです。
ドーパミンの生み出す欲望が行き過ぎると、
法を犯してでも目的を達成しようとするなど、
間違った方向へと進んでしまいます。

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